知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第10話(後編) 東八鳥公園の銀杏

 それにしても、「銀杏」という漢字を「いちょう」と読ませるのは不思議ですね。辞書によれば、銀杏の葉が鴨の脚に似ているため、中国では鴨脚をヤーチャオと読み、転じてイチョウとなったとか。英語では、ginkgo、gingkoの2つがありますが、銀杏の精子を発見して有名な平瀬作五郎を(たた)える石碑(東京大学理学部付属植物園)には、ginkgoと刻まれています。
 さて、112年もの昔に西新地に植えられた銀杏が、今もこうして大切に保存されていることにいいようもないうれしさを覚えます。明治期の教育事情を知る貴重な樹木を、こうして守り続けている知立の歴史風土。素晴らしい! の一言です。 案内板の最後は、「移転前の高等小学校卒業者や知立高等学校卒業生にとっては、母校をしのぶよすがであり、知立市民にとっては、知立の歴史を思い起こさせるしるしである」と感動的に締めくくられています。

 (坂之上九門)

【秋空に高く伸びる銀杏の木】

(知立くらしのニュース 2012.11.17 掲載)

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