知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第26話(後編) 愛知県名勝地、ここにあり

 八橋(でん)説地碑の裏面を見てみましょう。流麗な筆致で、〝から衣 きつつなれにし 妻しあれは はるはる来ぬる 旅をしそおもふ〟業平朝臣 と書かれています。揮毫(きごう)は、歌人・経済史学者として著名な五島茂氏(紫綬褒章受章)。
 日本語の歴史をたどれば、かつて「は」はP音で発音され、後になってF音となり、更にH音になったと言う。「花」は、pana→fana→hanaと変化したとのことですが、業平は「花」を何と発音していたのでしょうか。もうひとつ興味深いのは、この和歌の平仮名が、濁点を付けずに清音で書かれていること。ここにも日本語成立のナゾが秘められているのかも?
 八橋傳説地碑の裏面は、拓本され、額装されて知立高校に飾られています。地元の歴史を大切にしている様子がうかがえて、何だかとてもうれしいですね。さあ、今年は八橋傳説地碑建立、50年!

(坂之上九門)

【知立高校にある八橋傳説碑の拓本】

(知立くらしのニュース 2015.7.18 掲載)

関連記事一覧