知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第30話(後編) 知立のゲニウス・ロキ

 業平の和歌から始まったゲニウス・ロキを3つの側面からたどってみましょう。
 まずは文学的側面。西行の足跡を追って芭蕉が八橋を訪れると、芭蕉を尊敬する蕪村・千代女・一茶が、八橋や杜若(かきつばた)を主題にして数多くの俳句を詠んだのです。知立のゲニウス・ロキ化はこうして確定したのでしょう。
 演劇的側面に目を向けると世阿弥の存在が輝いています。世阿弥(ぜあみ)の自信作「井筒」が2013年に上演されたまちおこし演劇『愛・かきつばた姫』にも大きな影響を与えたと思われます。絵画的側面をみれば、国宝の2点を含む光琳の作品群が他の追従を許しません。今後止まることを知らない電子光学機器の発達が、新世代の光琳を誕生させるかも? 知立のゲニウス・ロキ万歳!

◇ ◇

 『翁のいざない』はこれにて打ち止め。5年間30話のご愛読に心から感謝申し上げます。皆さま方、どうぞお健やかに! 

(坂之上九門)

【筆者・坂之上九門さんの似顔絵】

(知立くらしのニュース 2016.5.21掲載)

関連記事一覧