知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第21話(後編) 萩の花咲くまち知立

 秋の七草の最初に登場するのが(はぎ)の花。今ではあまり見かけませんが、なじみの花としてよく目にしたものです。今回は、萩の花ゆかりの地へご案内しましょう。
 まずは在原寺(ざいげんじ)(八橋町)。山門右手に、〈萩刈って松籟(しょうらい)ばかり在原寺〉(紀四楼)という立派な句碑が! 松籟とは松の(こずえ)に吹く風のことですが、萩刈って、の一言で秋の寂しさを見事に表しています。
 2番目は知立中学校(広見)。校歌1番が〈♪萩の花咲く広見が丘に〉と歌い始められていることからも、この辺りは萩の名所だったのでしょう。今では萩の群生を見つけることは困難ですが…。
 3番目は猿渡公民館内藤魯一像(上重原町)。魯一の雅号は〝(しゅう)(へい)〟。小さな平らな土地に咲いた萩を意味します。()三野人(さんやじん)とも称していましたが、萩を雅号に選んでくれたのはうれしいですね。
 萩の花ゆかりの地巡り、いかがだったでしょうか。目を閉じればまぶたの裏に、ほら萩の花が秋風に揺れているはず。

(坂之上九門)

【在原寺にある句碑】

(知立くらしのニュース 2014.9.20 掲載)

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