知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第30話(前編) 知立のゲニウス・ロキ

 「ゲニウス・ロキ(GENIUS LOCI)」、あまり聞きなれない言葉ですが、ラテン語の〝場所の持つ個性〟を意味します。英語の辞書では、そのままのスペルで〝土地に雰囲気・気風〟。
 知立のゲニウス・ロキといえば、まず思い浮かぶのが杜若(かきつばた)。在原業平の和歌から始まるゲニウス・ロキの流れを、時系列で眺めてみましょう。
 在原業平―菅原(すがわらの)孝標(たかすえ)の娘―西行法師―阿仏(あぶつ)()―世阿弥―松尾芭蕉―尾形光琳―加賀千代女―与謝蕪村―方巌売(ほうがんばい)()―小林一茶―種田山頭火、日本の文化史に名をとどめる有名人がずらり。愛知県知立市といって所在がわからない人でも、「在原業平の和歌で有名な八橋」といえば理解していただけるのではないでしょうか。まさにゲニウス・ロキ!
 業平塚にある「八橋(でん)説地碑」が、ゲニウス・ロキの原点。業平と向かい合うには絶好の場所です。 

(坂之上九門)

【「八橋傳説地碑」がある業平塚】

(知立くらしのニュース 2016.3.19掲載)

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