知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第27話(前編)白象、池鯉鮒宿に一泊

 八代将軍徳川吉宗は、大の動物好き、舶来好き。日本の馬は小さすぎると、オランダからアラビア馬を27頭輸入し、これが実現すると象が見たいと言い出したのです。
 これを伝え聞いた中国の貿易商・鄭大威が「象を献上したい」と申し出て、前代未聞の「象の献上大作戦」がスタート。それから1年半後、長崎の港に大きな中国船が入港すると、長崎奉行所は大騒ぎ。インド象2頭を船から陸地へ移動させるにも、桟橋を補強したり、土手を改修したりと大変な苦労を強いられたのです。
 運の悪いことにメス象は3カ月ほどで死亡。オス象は、長旅を考慮して9カ月ほど大切に飼育されて出発に備えたのです。
 1729年3月13日、いよいよ江戸へ向けて陸路の旅立ち。目指すははるかかなたの江戸城。3人の武士が先頭に立って、総勢23人の、大名行列ならぬ「将軍家献上・象の大行列?」が出発。

(坂之上九門)

【白象がにしの入口「西見付」から池鯉鮒宿に入ったところ(筆者が想像で描いた絵)】

(知立くらしのニュース 2015.8.15 掲載)

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