南桜町「アガタふとん店」新天地へ

3代続く『眠りのサポート』

愛知県の刈谷市南桜町に店を構えて半世紀。天然素材を使った寝具を手作りする「アガタふとん店」が5月、同市での営業を終えました。 
 対面販売を大切に、品質の良さと確かな技術で、刈谷の人たちに親しまれてきた同店。今夏から同県豊田市の稲武地区へ拠点を移し、インターネット注文などに対応する業態へと生まれ変わります。
  

 同店は、安形光雄さん(故人)が同市の司町で布団づくりを学び、1973年に創業。光雄さんの娘の岡本美保子さん(73)、孫の安形弘二さん(49)へと3代にわたって、店ののれんを守ってきました。
 移転の背景には、天然素材の高騰による市場の変化と「2代目として長年、店を切り盛りしてきた母に、ゆっくりしてほしい」という弘二さんの思いが。
 航空機関連の技術職から転職し家業を継いでからの16年間で、約8千枚のふとんを製作したという弘二さんは「健康の源は快適な睡眠から。寝具を通じて地域の方の眠りを支えることが、町の元気へとつながっていたのかも」。自然に囲まれた稲武を新天地に選び、工房を備えた住居で、趣味の漫画制作や野菜づくりにも挑戦する予定で「これまで以上に、忙しくなりそう」と口元をほころばせます。


 刈谷に残って注文対応を担当する美保子さんは、「お客さまから『お父さんにはお世話になったよ』と、今でも声をかけていただきます。親子3代で築いたご縁を大切にしていきたい」と笑顔。「息子の気持ちに甘えて、ゆっくり温泉巡りに出かけたいですね」と、声を弾ませていました。

『アガタふとん店の2代目㊧と3代目』

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