知立の歴史ぶらり探訪・翁のいざない

第26話(前編) 愛知県名勝地、ここにあり

 鎌倉街道と名鉄三河線の交点に、立派な石碑が建立されています。南向きの正面には「愛知県名勝 八橋(でん)説地」とあり、その右脇には「文化財保護委員 石田茂作書」の文字。文化功労者・石田茂作氏(岡崎市出身)の揮毫(きごう)によるものであることが分かります。
 案内板によれば、この地が県指定文化財(名勝)に指定されたのは、1965(昭和40)年5月21日。準指定地域は八橋町五輪・町田を中心とした逢妻男川一帯。今では工場や新興住宅地に取り囲まれて、指定当時の様子を知ることはできませんが、浮世絵のモチーフとしてよく知られた「根上がりの松」や、在原業平が和歌を詠んだ場所と伝えられる「(おち)田中(たなか)(ひと)(まつ)」があり、愛知県名勝に指定されたのも無理からぬこと。
 日本文学史上にその名も高い三河国八橋。わがまちのお宝・八橋傳説地に立って、業平の故事を(しの)んではいかがでしょうか。かきつばたよ、とこしえに咲け!

(坂之上九門)

【鎌倉街道と名鉄三河線の交点にある「八橋傳説地」】

(知立くらしのニュース 2015.6.20 掲載)

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